フタバから遠く離れて

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自主上映会のご案内

News

【山形国際ドキュメンタリー映画祭レポート】

2015年10月16日

10月13日「フタバから遠く離れて 原発避難1475日の記録(山形バージョン)」が山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されました。

2012, 2014年に公開された第一部&第二部とスピンオフ作品「放射能 Radioactive」にさらに新たなフッテージを加え、時系列順に整理した2015年までの総集編です。

震災から4年以上が経過し、今も事故が収束していないにもかかわらず忘却の彼方に押しやられている「我々の問題」としての福島原発事故を、いま捉え直すために、総括しておく必要があると考え、まとめました。

「ここにある Cinema with Us」と題された震災以降のドキュメンタリーを特集したセクションで上映。

地元を中心に約40名の方が集いました。私・舩橋と橋本佳子プロデューサーが参加した上映後のディスカッションでは、時間がどんどん経過してゆくなか、原発避難を映像記録してゆく意味を話ししました。

安保法案が成立し、民主主義そのものの存在意義が問われている中、川内原発二号機も「粛々と」再稼動されました。

今この映画を残してゆく意義は大きいと考える我々は、震災から5年となる来年3月に、新たにまとまった作品としてお見せしたいと考えています。

舩橋淳

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Cinema du Reel国際ドキュメンタリー映画際レポート その2

2015年3月28日

フレンチ・プレミアの正式上映は一段落して、他の作品をみたり、パリ滞在中に会っておきたい人に会ったりを始める。といっても、映画の世界は実に狭く、「この映画はぜひみたいなぁ」といそいそと人知れず劇場に座っていると、知り合いの映画祭プログラマーが隣にいたりしてびっくり。ベルリン映画祭のプログラムディレクターのChristoph Terhechte や、釜山映画祭で拙作を助成してくれたHong Hyosook 氏とも再会した。

パリの天気は最悪で、どんよりとした雲と、北京よりもヒドイという噂の排ガススモッグにより、不快指数は高い。タクシー移動なんて考えられないほど、交通渋滞はヒドく、ひたすら地下鉄での移動。ホテルは2つ星のごく普通の宿で、Charlie Hebdo襲撃で160万人がデモ行進のために集ったというRepublic 広場の目の前。今も、当時のチラシの残骸や、落書きが目に付く。こちらのフランス人に聞いてみると、表現の自由ばかりを求めて群衆が熱狂したのは911後のアメリカの扇情主義のようだとたしなめる人や、移民社会の格差問題はフランスの国内問題という批判に対し、しかし移民側も努力が足りず、本当にこの社会でのし上がろうと学力やキャリアアップをしている層は少ない、と辛辣な内部批判も聞くことが多かった。なるほど、事態は単純化できないのだな、と痛感した。

2日目午後には、「フタバから遠く離れて」のワールドセールスを担当してくれているWIDE HOUSE のオフィスを訪問。モロッコ料理を食べながら、今後の戦略、どこに映画を広めてゆこうかを相談。Emailばかりで話していたけど、顔を付き合わせてみると、映画への情熱のあるスタッフばかりで心を動かされた。

3日目は、東洋・アジアの言語専門大学INALCOで、「放射能 Radioactive 」の上映会。吉田喜重監督を介して知り合ったMathieu Capel氏が、招待してくれたもので、フランス版原発安全神話について熱い議論となった。チェルノブイリのような旧社会主義的な管理体制より、フランスは遥かに優秀で、日本のように地震・津波はない。フランス政府はフクシマ後にさらに積み上げられた安全対策は「世界一」で、事故は起きない、と言い切っているそうだ。(どこかで聞いたことのある言い回し・・・)福島の悲劇を理解し、倫理的な判断を国民レベルで進める必要について、具体策が議論された。いやぁ、中身の濃い内容だった。

舩橋

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Cinema Du Reel 国際ドキュメンタリー映画祭レポート

2015年3月27日

パリ・ポンピドゥ−センターにて19日から開催されているこの映画祭のインターナショナル・コンペ部門に、「フタバから遠く離れて 第二部」が正式招待を受けました。僕の敬愛しているワン・ビン監督の作品なども、フランスでいち早く紹介してきた映画祭です。他のコンペの作品も見ましたが、傑出した作品ばかり。特にNoche herida (dir: Nicholas Rincon Gille) というコロンビアのスラム街のドキュメンタリーには、圧倒されました。映画と現代の出会う接点を見事に描き出す、芸術であり、ジャーナリスティックなステイトメントも込められた傑作に出会え、その為にここにきて良かったと思える作品でした。 「フタバ〜2」は計3回上映され、1回目のCinema 1 での上映は満員!2回目の上映でも、8割埋まるという盛況でした。上映後のQ&A では、原発大国のフランスでこの映画がぜひもっと公開されるべきだという意見、フランスは福島の教訓を活かすにはどうすればよいのか?という質問などがありました。また、フランス国内で物議を醸している使用済核燃料の最終処分場の話や、CO2排出量の削減を目的として原子力が推進されているフランスの事情についても議論されました。

舩橋淳

 

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フランス・パリでの上映情報

2015年3月20日

3月25〜28日にフランス・パリで、上映されます。

お近くの方は、ぜひお誘い合わせの上、お越し下さい。

舩橋監督もQ&Aに参加する予定です。

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< FRENCH PREMIERE of NUCLEAR NATION II >

Cinema Du Reel International Documentary Film Festival

– Wednesday, March 25th at 2:30 pm, screening followed by a Q&A with the audience in theater Cinema 1, Centre Georges Pompidou (C1)

– Thursday, March 26th at 6:30 pm, screeningfollowed by a Q&A with the audience in Luminor, Hôtel de ville (LU)

http://www.cinemadureel.org/en/programme-2015/international-competition/futaba-kara-toku-hanarete-dainibu

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On March 27th.

Le cinéaste japonais Funahashi Atsushi viendra ce vendredi 27 mars à l’INALCO présenter un moyen-métrage inédit, ” Radioactive “/ 放射能.

INALCO
65 Rue des Grands Moulins, 75013 Paris
01 81 70 10 00
http://www.inalco.fr/

Le film fait partie d’une série en cours,  ” Nuclear Nation ” /フタバから遠く離れて, entamée en 2011 après la catastrophe du 11 mars 2011, et consacrée au sort des habitants déplacés de la municipalité de Futaba.

Le dernier volet en date, ” Nuclear Nation II “,est présenté en compétition au festival Cinéma du réel :

http://www.cinemadureel.org/fr/programme-2015/competition-internationale/futaba-kara-toku-hanarete-dainibu

Conçu comme un “spin-off” de la série, ” Radioactive ” s’en démarque par la simplicité de son matériau, monté de manière très brute, ce qui ne lui donne que d’autant plus d’impact.

Pour plus de renseignements en anglais et en japonais, je vous invite à consulter le site officiel du film :
http://nuclearnation.jp/jp/radioactive/ (japonais)
http://nuclearnation.jp/en/radioactive/ (anglais)

Le film, projeté en version originale sous-titrée en anglais, sera suivi d’une discussion avec Funahashi Atsushi.

Vous êtes donc tous invités à nous rejoindre
ce vendredi
à partir de 18h,
en Amphi 2.
L’entrée bien sûr est libre.

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On March 28th,

A screening of NUCLEAR NATION II hosted by Zoom Japon.

Samedi 28 mars 2015 à 11h
Cinéma La Pagode (Paris)
suivie d’une rencontre avec le réalisateur

http://rendezvousaveclejapon.jimdo.com/

Category:Festivals

Variety 誌が「フタバ〜第二部」を絶賛!

2015年2月17日

ベルリン国際映画祭の報道より、Variety紙が絶賛の批評を掲載しました。

“While the sense of frustration and impotence weighs heavily on viewers, it doesn’t reduce the significance of “Nuclear Nation II, which forces one to acknowledge that the crisis remains unresolved, and chillingly hints at a new debacle in the form of nuclear contamination. Like its predecessor, the film is being distributed in France by Wide House and should enjoy a strong presence in Europe, particularly on smallscreens.”  – Maggie Lee, Variety

「何も出来ない不能さと苛立ちばかりが重くのしかかってくる映画であるが、それがこの作品の重要さを目減りさせることはない。原発災害は今もなお続いているということ、放射能汚染の新たな恐怖を眼前に突きつける。前作のように、フランスのWide House により配給されるが、小劇場での公開など、ヨーロッパ中で広く見られるに違いない」 - バラエティ誌 マギー・リー(批評家)

以下は全文(英語):
http://variety.com/2015/film/reviews/berlin-film-review-nuclear-nation-ii-1201429763/

Category:Berlinale 2015

映画.com で紹介されました。

ベルリン国際映画祭の報道より、映画.com で紹介されました。

“一方船橋の作品は、3年前の「フタバから遠く離れて」の続編にあたるドキュメンタリーで、3・11により福島から追われた町の人々の長期にわたる避難生活に密着。監督は、「福島の問題は時間が経てば経つほど重くなってくる。町の人々が安住の地を見つけるまでは、撮り続けたい」と、「地べたからの視点」を心がけ、彼らの生の声をすくいとってみせた。”

全文は以下:

http://eiga.com/news/20150214/7/

Category:Berlinale 2015

ベルリン国際映画祭レポート⑦ <最終回>  2.16.2015

2015年2月16日

ベルリン映画祭の最終日、主な賞関連も全て発表されました。残念ながら、「フタバ〜」は受賞を逃しました。Hollywood Reporter やVariety 誌などで批評家から高く評価されたのですが、賞に結びつかなかったのは無念で仕方ありません。しかし、上映会場で受けた絶賛、特に福島の原発避難を今からも撮り続けなければいけないと私が言ったときに受けた、会場が揺れんばかりの大きな拍手は忘れがたく強烈で、今後の糧になってゆくと思います。
Golden Bear 金熊賞は、Jafar Panahi監督(イラン)の「Taxi」。監督に20年間出国を禁じ、軟禁状態を強制しているイラン政府に対してのベルリン映画祭からの強いメッセージという政治的な側面もありますが、作品自体がとにかく傑出していたそうです。日本でも必ず公開されるでしょう。
また、空いた時間に橋本プロデューサーと、ポツダム広場にあるホロコースト慰霊施設(虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑と情報センター)へ行きました。ナチスにより虐殺された600万人のユダヤ人の、その一つ一つの家族や出自を刻々と刻みつけ、差別と暴力は決して繰り返してはならない、というドイツ社会の反省への執念が感じられました。
過去の加害を記憶に刻み付けようとするドイツの、記憶の文化は凄まじいものがあります。その後、フォーラム部門で「Out of the Forest」(Limor Pinhasov Ben Yosef & Yaron Kaftori Ben Yosef)というナチスによる、リトアニアでのユダヤ人虐殺のドキュメンタリーを見ました。リトアニアの森の中での”pit”(大きな穴)でいかに虐殺が行われ、いかに現地の人々がそれに協力してしまったのか、を語る強烈な作品でした。加害の事実について映像で追求する作品が、日本はまだ圧倒的に不足していると感じました。

15日の午後に、橋本プロデューサーとともに帰国便へ乗りました。
いろいろ強烈な刺激を受けた映画祭でした。Wim Wendersが名誉金熊賞を受けたスピーチで言いました「Lifetime とFilmtime をシンクロさせてゆくのが自分の人生であり、周りの友人、スタッフ、被写体の人々の人生であった。それがcinema の輝かしい魅力だ」と。まったく同意見です。上映時に、私のLifetime =Filmtimeとシンクロしてくれた様々な人の顔が浮かんだ映画祭でありました。その中心に双葉町の方々がいたことは言うまでもありません。感謝の念とともにベルリン、テーゲル国際空港を発ちます。心よりありがとう!

舩橋淳

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Category:Berlinale 2015

ベルリン国際映画祭レポート⑥  2.15.2015

日本から座・高円寺ドキュメンタリー映画祭を終えたばかりの橋本プロデューサーが合流。まずベルリン映画祭フォーラム部門の会食に参加。プログラムディレクターのChristopoh Terhechte氏、「水の声を聞く」の山本政志監督、主演のヒョンリさん、Kidrat Tahimick 監督などが参加しました。Tahimick監督は、私が学生時代、佐藤真監督が絶賛していて見るようになったフィリピンの鬼才で、作風は「宇宙に向けられた」(本人談)、ぶっ飛んだもので、お会いできたのは光栄でした。
また、日本大使館で、中根駐ドイツ大使による食事会が開かれました。Hiroshima Strasse という通りにある大使館は、一度戦災で焼けましたが、ナチス以前からあった建造物。「天の茶助」でコンペ部門へ参加中のSABU監督、その市山尚三プロデューサー、「ダリー・マルサン」(フォーラム部門)の高橋泉監督、「Out of My Hand」(フォーラム部門)の福永壮志監督などが、中根大使と会食しました。

夜は、劇場Akademie der Kunste で3回目の上映。
橋本プロデューサーとともに、今もなお13万人以上の方が、福島を中心に避難生活を続けているということ、原発事故は全く収束などしていないということ、日々懸命に働いている原発作業員が6000人いるが、被爆量が増え続ける問題が脅威であること、原発事故でお金では賠償できない多くのものを失ってしまったということ、を訴えました。

そして、福島の悲劇は、地球規模の大災害であり、人類全体の問題として捉えなければいけない。原子力の功罪を、国境を超えて、考え直さなければ行けないことを強調しました。

(舩橋)
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Category:Berlinale 2015

ベルリン国際映画祭レポート⑤  2.14.2015

 

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映画祭の若手育成プログラムBerlinale Talents で、シンポジウムに呼ばれ参加しました。実は私も2004年にこのプログラムを受講しており、その後5本の映画を作る度に“Berlnale Talents卒業生”として必ず講演しています。今回のタイトルは、”Hybrid News: Documenting True Events” 。社会問題、災害、事件をどう映画が、ジャーナリズムが描くのか、そのアプローチ方法と倫理性について議論しました。福島原発事故、パラグアイ社会の暴力、DVの問題、ナイジェリアでの国内紛争を例に、問題意識をぶつけ合う濃密な時間でした。パラグアイのMarcelo Martinessi氏は、パラグアイの伝統的な社会では、家庭内暴力は決して証言として撮れない。対象にとことん寄り添って、話を聞いて、それをベースにフィクションとして、映画を再構築するという方法が最も「真実」に近づく術だといい、ナイジェリアのShaibu Husseini氏は、国家と表現の自由の問題について、いかに闘ってゆくのかについて、私・舩橋は、現在進行形の大災害(原発事故)を描くときに、コミュニティの内部対立を描くべきか、避けるべきなのか、また現在日本で問題となっている政府による表現の自由への抑圧について語りました。どこの国でも、どうやってアーティストが言論と表現の自由を守り抜いてゆくのか、困難な時代に生きているという意識が共有されました。

夜はポツダム広場のCinestar8で2回目の上映。キャパ約300名の会場は満員。前作に続き、今作のワールドセールスを担当してくれるWide House の代表Anais とPatrizia も駆けつけてくれました!世界中で映画を配給するために力を注いでくれていて(ポスターも会場中に張ってある!)、各国での劇場公開・テレビ放映も近々決定しそうです。(舩橋)

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Category:Berlinale 2015

ハリウッド・レポーター誌が絶賛!

2015年2月15日

ハリウッドレポーター誌が、ベルリン国際映画祭でプレミアされた「フタバから遠く離れて 第二部」へ絶賛のレビューを掲載しました。以下、抜粋です。

Audacious…Funahashi’s engagement with his subjects remains as strong as ever.
(勇敢である・・・舩橋の対象との関係はとても強く結ばれている。)

Its international premiere at Berlin — where the first film also bowed in 2012, also as a Forum title — is bound to be followed by a sustained run on the festival circuit.
(2012年にフォーラム部門で第一作が上映された、その続編のインターナショナル・プレミアは、広く世界の映画祭で上映されてゆくに違いない。)

本文はこちら。(英語)
http://www.hollywoodreporter.com/review/nuclear-nation-ii-futaba-kara-772133

Category:Berlinale 2015